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HIRO YANAGIMACHIでつくる靴には、一足一足それぞれにストーリーがあります。ここでは過去にお客様に制作させていただいた靴の中から一部を取り上げ、それらに込められたストーリーをご紹介いたします。

USA Mr. J. Y.

〈意外なリクエスト〉

 

今回ご紹介するローファーはハワイ・ホノルル在住の日系アメリカ人のお客様よりオーダーいただきました。靴が好きで、私達のことはネットで調べ知ったとのこと。日本へはお仕事で定期的にいらっしゃることもあり、ビスポークを前提にご来店いただきました。常夏のハワイという土地柄、初回のオーダーではありますがローファーをご検討され、結果、HIRO YANAGIMACHI オリジナルのセンターシームサドルデザインをご指名いただきました。アッパーにグレーを、ソールにはベベルドウエスト&フィドルバックというこだわりの仕様をお決めいただいた後、最後にお客様よりいただいたリクエストは実に意外なものでした。それは、「富士山」と「海」というモチーフを靴のどこかに入れて欲しいということ。話を伺ってみると、実は「北斎」が大変お好きとのことで、そのため、その浮世絵に度々描かれ魅了された「富士山」と「海」というモチーフを、これからつくる初めてのビスポークシューズにも取り入れたいとのことでした。

センターシームサドルローファーのデザインの基本を崩すことなく、「富士山」と「海」というモチーフを取り入れる・・・なんとも難しいリクエストではありましたが、それらを具象的に形として表現することはせず、抽象化したものとして靴に込めるというアプローチで靴に仕上げました。

例えば「海」は、その深淵な青さを、「ソールのフィドルバック部分の青く陰影をもたせたハーフペイント」、「ネイビーブルーのライニング」、「グレーのアッパーに施したネイビーブルーのポリッシュ」で表現し、北斎の絵で表現された荒々しい波を、「ピークを持たせたヒールカウンター」に込めてみました。

そうして出来上がった靴はそのフィッティングとともに大変ご満足いただくことができました。アッパーと同素材で制作させていただいたベルトとともに、ホノルルの街をこの靴で歩いている姿が浮かんできます。履き手だけが知る靴に込めたこだわりと遊び心を胸に。

さて、残るお題である「富士山」・・・どこにどう表現したかおわかりでしょうか?

 

ラスト:フルスクラッチ/ラウンド、アッパー:フレンチカーフ/グレイ、ソール:ベベルドウエスト

 

〈An unexpected request. 〉

 

Allow us to introduce a pair of loafers ordered by a Japanese-American customer who lives in Honolulu, Hawaii. He loves shoes and found us on the internet. He intended to place a bespoke shoe order with us since he visits Japan on business regularly. To match his lifestyle in Hawaii, where it’s almost always summer, he had an idea for loafers even though this was his first order from us. After discussing the details of the order, he chose our original style center seam saddle loafers. He requested interesting details like a beveled waist and fiddle back sole for his loafers. Then, finally, he added an unexpected request. He gave us two keywords “Mt. Fuji” and “The Ocean” as a motif for his loafers. This is because he loves Hokusai, one of the most famous artists of the Ukiyoe art style, and he loves Mt. Fuji and the view of the ocean that are the representative motifs of Hokusai’s Ukiyoe. So he wanted us to introduce something related to these two keywords into his loafers. It would not be easy for us to realize his request literally without greatly changing the design of the center seam saddle loafer, so an approach to the task we did it not by expressing the exact images of these motifs, but instead by converting them into abstract ideas to be able to put into the loafers.

For example, we converted "The Ocean” into a deep blue color, and introduced this idea into the fiddle back with a shade of blue, into the quarter linings with navy blue leather, and with a navy blue polish on the gray uppers. Also, we used the peaked counter as an expression of the turbulent waves such as those drawn on the Hokusai’s Ukiyoe.

He was very happy with the result as well as the fitting of the loafers. I can imagine he enjoys his loafers in Honolulu, wearing a matching gray leather belt from us, with the story behind them and a sense of fun in his mind.

By the way, can you find the small detail that we put into the loafers as an expression of the other Mt. Fuji motif?

 

Last : Full scratch/Round toe, Upper : French calf/Gray, Sole : Beveled waist

 

 

 

 

 


東京都 S.O様

革の緊張感が生み出す、ローファーのフィッティング〉
 

今回のお客様、これまでブーツを含め何足もオーダーいただいていますが、ローファーはこれが初めて。オリジナルのセンターシームモデルをエレガント且つ個性的なダークグレイの革でご注文いただきました。ローファーはレースやバックルがない分、靴に足を入れた際に革が動いて生じるテンションで足にフィットさせることが、特に重要となります。ところがお客様の足は大変柔らかくそのテンションを吸収してしまい、何度か試し履きをしていただきながらの木型制作となりました。「足の形+革の動き」を考慮したローファー用木型のあるべき形への理解を深めてくれた一足、お客様にも大変喜んでいただきました。

ラスト:フルスクラッチ/ラウンド、アッパー:フレンチカーフ/ダークグレイ、ソール:ベベルドウエスト









神奈川県 K.N様

〈気持ちが求めたデザイン、足が求めた履き心地〉

初めてオーダーしていただいたこちらのお客様は、合う靴がなく「靴に合わせて履かされている感覚があった」とおっしゃるとおり、足長に対してボリュームのある難しい足をお持ちでした。選ばれたスタイルは、サドルがなく主に一枚のパーツから構成されるバンプローファー。サドルがないが故に、その分優しく足を包みこむような履き心地を実現します。「お客様の足に合わせた靴」、落ち着いた濃茶色のどっしりとした一足に仕上がりました。

ラスト:フルスクラッチ/ラウンド、アッパー:フレンチカーフ/ダークブラウン、ソール:スクエアウエスト




東京都 M.S様

〈足と一体となる靴、それは硬さ・重さを意識させない靴〉

「とにかく柔らかくて、軽い靴」。初めてのオーダーとなるこちらのお客様のリクエストに共感される方は多いのではないでしょうか?それは、足の動きと同調せず、フィットしていない靴がもたらす硬さ、重さへの不満の表れとも言えます。フィットした靴であれば、ある程度の硬さや重さはむしろ足を支え、歩行を助けます。出来上がった靴を履かれたお客様は、柔らかさや軽さを特別意識することもなく、「初めての履き心地」とご満足いただきました。

ラスト:フルスクラッチ/ラウンド、アッパー:フレンチカーフ/ライトブラウン、ソール:スクエアウエスト




神奈川県 K.F様

〈コードバンが引き立たせる、フルサドルローファーの存在感〉 

馬革タンナーとして有名な、新喜皮革製のコードバンを用いて制作したフルサドルローファー。ローファーのフィッティングの要は、甲の押えとトップラインの挟込み。幅広で、フラットな傾向の足を持ったこのお客様は、これまでフィットしたローファーに出会うことがありませんでした。つま先周りに繊細なハンドステッチを施し、ヒールからシームをなくしたその靴は、コードバンの上質な素材を主役に、重厚さと緻密さを兼ね備えた一足に仕上がりました。

ラスト:フルスクラッチ/スクエアー、アッパー:コードバン/ダークブラウン、ソール:ベベルドウエスト



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